かつてはさまざまなメーカーが製造していた水平対向エンジンは、いまや世界中でもポルシェとスバルしか作っていません。それはエンジン自体の性能よりも、車両に搭載する際の難しさと、製造コストからきている部分が大きいのですが、それを補っても余りあるメリットを持っています。そんな水平対向エンジンを詳しく見ていきましょう。 水平対向エンジンとは、レシプロエンジンの一つの形式で、クランクシャフトを挟んで対になるピストンが向かい合うように作動するエンジンのことです。その見た目は、クランクケースの左右、水平にシリンダーブロックが配置されます。 現在、メーカーによって量産されている水平対向エンジンは、6気筒と4気筒とバイク用の2気筒で、理論上は2の倍数の気筒数であれば作れます。
水平対向エンジンのメリットは、理論上振動が少ないこと、低重心、同じ気筒の直列エンジンに比べて全長が短くなるなどです。まず向かい合った隣同士のピストンが対になって動くうえに180°反転しているので、理論上は2次以上の振動まで相殺することが可能で、バランサーも必要ありません。 またエンジンは平べったいものになり、それを低い位置にマウントすることで低重心を実現できます。高さ方向にスペースが必要ないので、フロントエンジン車の場合、ノーズの高さを抑え空気抵抗を減らすことが可能ですし、なによりも低重心は、車両の運動性能に大きく寄与します。
もちろん水平対向エンジンにはデメリットもあります。それは、設計が大変なこと、横幅が広いこと、オイル漏れしやすいことなどです。そのエギゾーストの取り回しを最良のものにするには、オイルパンが邪魔なのでレーシングエンジンのようなドライサンプのシステムを導入する必要がありとても高価なエンジンになってします。